第2回|人によって自分が変わるのは、「自分がない」からではありません― そうせざるを得なかった生き方の話 ―

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心理カウンセラーの峠素子です




「人によって自分が変わる」シリーズ(全3回)をお届けしています。

前回は、「人によって自分が変わるって、普通じゃないのか」「自分のことが分からない」と悩まれる方に向けて記事を書きました。

第1回|自分が分からない私は、普通じゃないの? 人によって自分が変わってしまう理由

今回は、
「人によって、自分が変わってしまう」その裏で起こっている心理的背景。
「自分のことが分からない」理由をもう少し詳しく解説していきたいと思います。

人によって自分が変わってしまう。
そんな感覚はありませんか。

相手が変わると話し方が変わり、表情もテンションも考え方も少しずつ変わってしまい、
「私は、どれが本当の自分なんだろう」
「こんなに変わるなんて、おかしいのかな」

「私って、八方美人の他人軸なのかな…」
そう思うこともあるかもしれません。

この感覚を持っている人、実は少なくありません。

先に、結論からお伝えします。

人によって自分が変わるのは、自分がないからではありません。
そうせざるを得ない生き方、続けてきただけです。

これは性格の問題でも、未熟さでもありません。

人によって自分が変わる人は、会話の中で無意識にこんなことをしています。

相手の表情を見る。
場の空気を感じ取る。
今、何が求められていそうかを察する。

そして、その場その場でこういいた判断が起こります。

「この場では、こう振る舞ったほうがよさそう」
「これなら浮かない」
「これなら嫌われない」

その結果、相手や場に合った自分になります。

これは嘘をついているわけでも、演じているわけでもありません。

過去の経験の中で、そうすることで安心できたことがあり、その反応が自然と身についていっただけです。

過去、人に合わせることで関係が築けた、空気を読むので責められなかった、役を演じることで居場所があった。

こうした積み重ねの中で、自分の気持ちよりも、場に合うことを優先する生き方が形づくられていきました。

ここで、一つの見方を紹介します。

人に合わせる。
共感する。
期待に応える。

「そうしていれば、嫌われずにすむ」
「ここにいても大丈夫だと思えた」

こうした行動は、「ここにいていい」と感じるための手段として使われてきました。

言い換えるなら、それは存在を認めてもらうための通貨のようなものだったのかもしれません。

相手に合わせることで、居場所と安心を“交換”してきた、そんな感覚です。

合わせることで居場所を得て、安心を得て、関係を保つ。

この通貨は、これまでのあなたを守るために、使っていたということですね。

この生き方が続くと、自分の内側で起きていることを確認する前に、外の状況を見ることが当たり前になります。

自分の気持ちを感じる前に、場を読む。
違和感に気づく前に、正解を選ぶ。

そうしているうちに、ふと、こんな感覚が残ります。

「自分が分からない」
「何が好きか、嫌いかも、はっきりしない」

でもそれは、感性が鈍いからではありません。

感じていなかったのではなく、感じる余裕がなかっただけです。

これまでの生き方を考えれば、自分のことが分からなくなっていても、無理はありません。


人によって自分が変わるのは、「自分がない」からではありません。

そうせざるを得ない生き方を、続けてきただけです。

相手に合わせることで、居場所と安心を“交換”し、そういったパターンを繰り返してきた。

そうなると、自分のことが分からなくなったのも、その生き方の延長線上にあり、とても自然な結果ですよね。

次回は、「相手にあわせなくても、ここにいてもいい安心感」というテーマでお話しします。

これまでパターンを無理に手放す必要はありません。

でも、少しだけ使わない場面を増やすことはできます。

その小さな一歩が「自分が分からない」状態から抜ける、最初の体験になるので、参考にされてください。