「時間が解決してくれる」
昔からよく言われている言葉です。
しかし、私はこの言葉、感情の面から考えると、逆効果だと思っています。
感情の問題は、時間では解決できません。
確かに、時間がたてば状況が変わったり、冷静になっていくことはあります。
しかし、どれだけ時間をかけても、心に受けた傷は根本的に解決していません…。
記憶が薄れたり、環境が変わっても、その時感じた「感情」は消えることはないのです。
自分の中で感情に蓋をして、気づかないふり、見ないふりをしているだけなんです。
なので、その蓋をした感情を刺激する出来事が起こると、自分の中で感情が暴れ始めます。
それを更に無視していると、その感情はどんどん大きくなり、自分ではとても対処できないほどになっていきます。
いつ爆発するか分からない爆弾を、自分の中に抱えている状態です。
私が相談をうけた例を1つ挙げると…
2016年、熊本地震の大きな揺れを経験した女性がいました。
彼女は地震の恐怖を「時が解決してくれる」と、思い出さないように生活していたそうです。
そうして、数年後・・・
彼女は小さい地震が起きても、身体が固まるようになり、胸の動悸が収まらなくなりました。
まわりの友人が地震のことを忘れたように生きているのを見ると、引きずっている自分がおかしいのかと落ち込みます。
自分より被害を大きく受けた方が、前向きに生きている姿を見ると、自分のことを「弱い人間」と責めてしまいます。
…このようなご相談でしたが、どう思いましたか?
彼女は、地震にあって「怖い」「つらい」という気持ちに蓋をしてきました。
その結果、数年後には、感情は複雑になり、身体症状も現れるようになってきたのです。
感情に向き合うことは、怖いことかもしれません。
喪失したものを何度も思い出すのは、つらいですよね。
身がすくむほどの恐怖を、再び感じるのは怖いですよね。
耐え忍んだ過去は、みじめに思うかもしれません。
更に、感情と感情が絡み合っていると、感情そのものに圧倒されるかもしれません。
私も昔は、自分の感情を見ないふりをしたり、感じていないふりをしてきました。
「起こったことは変えられない」
「いつまでもクヨクヨしていても、しょうがない」
「前を向いて、歩こう」
それが、大人になること、強くなることと勘違いしていたのです。
けれど心理を学び、ずっと蓋をしていた感情を見てあげると、驚くほど心も体も軽くなりました。
漠然と感じていた不安感が溶けていき、解放されていく感覚です。
子どもは、何かあるとすぐに泣いて、泣きつくしたら、ケロッと遊んでいたりしますよね。
「泣いたカラスがもう笑う」と言いいますが、それと、同じです。
まずは感情に居場所を与えてあげて、しっかりと向き合い、感じつくし、解放されるのを見届けてあげる。
時間に解決を任せるよりも、自分の意志で適切に終わらせていく。
それが、自分に向き合い、心から癒されることだと、私は思います。
1人でやると、やり方が分からず、不安が大きくなったり、先延ばしになってしまうかもしれません。
安心安全な場所で感情と向き合い、感情の解放のやり方を学びたい方は、是非、カウンセリングをご活用ください。